04-024-1.gif

老人病院に友を見舞う 田中道子

暖かい早春のある日、もう二年近く入院している俳句友達のKさんを、ご主人の運転で友人と二人青梅市の老人病院へ久し振りにお見舞いに行った。彼女は心臓病が快方に向かった頃、病院の風呂場で転んで足を骨折した。八十二才の高齢と心臓病のため手術は不可能との事であった。それから寝たっきりの生活だという。車は八王子から恩方を過ぎ青梅に近づくと、丁度青梅の吉野梅郷の梅まつりの最中で白梅、紅梅の盛りでなかなか美しかった。途中杉に囲まれた古刹天寧寺に立ち寄り、立派な仁王門や心字池を見て廻り、ご主人が梅をバックに写真を撮って呉れた。梅の根方に赤い頭巾と前垂れを付けた親子の地蔵尊が愛らしく印象的だった。
姿良き梅ほのぼのと天寧寺
小地蔵の前垂れに触れ梅の里
二時過ぎ青梅三慶病院に到着した。なかなか清潔な建物の二階に数人の患者と一緒にKさんがベッドに横臥していた。約半年振りに会ったが顔色も良く思ったより元気なので安心した。車椅子に乗ったKさんと面会室でいろいろと話をした。病院は完全看護でサービスが行き届いているので、八十才、九十才のお年寄りも安心して入院生活を送っているとのこと。一番の楽しみは食事でKさんは粥食だが、食後のフルーツが美味しいと言っていた。
お見舞品の食品は一切駄目とのことで、折角持参した果物は持ち帰る破目になった。もう一つの楽しみは週に一回ご主人と娘さんのお見舞だと言っていた。Kさんご夫妻も運命にさからわず離れて暮らしていても、心の中に至福なきずなが固く結ばれているのを、つくづくうらやましく思った一日であった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ